イノシシ肉、食べきる。


解体してから4日冷蔵庫で熟成し、さらに2日ピチットで脱水、そうして煮たり焼いたりして食べてきたイノシシのモモ肉1本分だが、残ったのは味噌漬けである。解体から今日で12日目になる。が、腐敗臭はぜんぜんない。包丁では切りにくいほど柔らかい。それをフライパンで焼いてみた。

表面の味噌はきれいに拭ってからスライスして焼いているのだが、やはり焦げやすいので弱火で焼く。ピチットで脱水をかけているので肉汁はほとんど出ない。

これまた、とてもおいしかった。柚子胡椒もやってみたが、やはり七味が合う。

イノシシ肉はこれまで硬いという先入観があったが、モモ肉のこの柔らかさはちょっと驚きだった。それから、ピチットを使ったせいもあるのか、かなり保存がきくということも解った。

最近、イノシシをめぐる2冊の本を読んだ。中国新聞取材班編『猪変(いへん)』と、畠山千春『わたし、解体はじめました』だ。

前者は2002年に『中国新聞』に連載されたものをベースに、再取材を加えて構成され2015年に「本の雑誌社」から発行されたものである。中国地方のイノシシ事情がよくわかるが、四国だって同じようなものだろう。

後者は「狩猟女子の暮らしづくり」という副題のとおり、若い女性狩猟者の成長物語、独白である。発行は20014年。どちらも面白くていろいろ考えさせられた。ちなみに千春ちゃんは肉食女子というわけではなく、普段はベジタリアンに近いんだそうだ。イノチと向き合って、自分で仕留めたものをありがたくいただきたいという。現在は九州でシェアハウスなんかをやっている。

話は変わるけど、スーパーに行くと輸入肉が安いけど、アメリカ産の牛・豚は僕は絶対に買わないことにしている。トンカツ用のロースなんか国産の3割くらい安いので思わず触手が伸びそうになるが、とんでもなく薬を使っていると聞く。だいいち餌だってまちがいなく遺伝子組み換えコーンだ。アメ牛に至っては、あの中国でさえ輸入禁止にしているのに・・・。

それを考えるなら、日本の野生のイノシシは相当に健康な肉といえる(ただし放射能汚染地帯の肉はNG)。感情的に肉を食うのはどうか? という議論はさておき、増え過ぎて田畑や山林を荒らしている獣は管理していく必要がある。

なにしろ日本は天敵であるオオカミを絶滅させ、過疎化に拍車がかかり狩猟人口も激減しているという事情がある。それを狩猟によってありがたく、おいしくいただく技術はあっていい。

そして餌に遺伝子組み換えの輸入穀物を使ったあまりに不健康な畜産は変えていく(縮小していく)べきで、その裏でこの畜産糞尿が有機肥料になるせいで、高濃度の硝酸性窒素入り野菜が大量に生まれているという危険もある。

この頃の炭水化物・小麦・大豆の批判と、肉食を推奨するかのような誘導は前々からかなり怪しいと思っていた。幸いトランプ事情でTPPは逃れたが・・・。

それにしても、若者から老人まで、日本人の食と栄養学に関する情弱さは目も当てられぬほど悲惨だ。テレビ漬けだから仕方がないが・・・。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください