仙台市内を通過して米沢へ向かう。震災後、ひさしぶりの仙台だ。市内の活気ぶりを感じてみたかった。伊東豊雄の「せんだいメディアテーク」の前を通るようにカーナビをセットした。
通勤渋滞に巻き込まれながらたどり着いた「せんだいメディアテーク」は、朝日に輝くケヤキ並木に美しく融合していた。時間がなくて中には入れなかったが、街の人たちに愛されているのが伝わってきた(以前の取材で夜のメディアテークに入ったことがある、その頃の私はガラス建築に批判的だった)。
この建物はガラス建築だが、2重ガラス面にしてあり、上部の開閉機構で夏は内側に上昇気流を起こしてガラス面を冷却、冬季は閉めて断熱性の高い空気層をつくることで空調コストを軽減する工夫がなされているのである。
また、構造的には鉄骨のシャフトとフラットスラブで構成されており、シャフトが立つチューブは、屋上から室内に自然光をもたらし、配線や備配管、エレベーター・階段など垂直動線を通すパイプにもなっている。
全面ガラス建築は見た目に地震が心配になるが、地階に組み込まれた耐震装置のおかげで、この度の震災でも大きな被害はなかったのである。
米沢へ向かう。残雪の山が見えてきた。
福島から下道で。国道13号で峠を越える。道々の斜面にピンク色の花が咲いている。
車を止めて近づいてみた。タニウツギだった。
足下の土には雪解け直後の植物たちが萌え出たばかりだった。
クマザサにシダ。
ナルコユリ、左のイタヤカエデのような葉っぱは何だろう?
イラクサ。
シシウドかな。
とにかく峠周辺は新緑真っ盛り。今回はこの東北・雪国の新緑を見るのも旅の楽しみの一つだったのだ。
米沢に着いた。周囲を山に囲まれた盆地である。標高は町の中心で250mくらい。田んぼに水が張られていた、田植えはこれからのようだ。
今日の昼は米沢のご当地ラーメンと決めていたのだ。市街地の外れ、田んぼというか原野というか、そんな中にたたずむ有名店「ひらま」。開店の11:20分には駐車場は満車で、20人近い行列が・・・。
ご主人と息子さんが厨房に立つ。自家製麺。あっさり系。
中華そば、普通盛りで(600円)。
麺は極細の縮れ麺で独特のものだった。よくスープがからむ。スープはあっさりだがコクがあって最後まで飲める。チャーシューは脂少なめの硬めだが味が深くて旨い。米沢ラーメン、デフォルトの量がたっぷりあると聞いていたが、右隣のおじさんが頼んだ大盛りは、洗面器のようにデカイ器でチャーシューも2枚入っていた。左隣のお兄さんが頼んでいた「つけめん」も美味しそうだった。
ここから日本海の高速道路に出るまでは下道を走りながら、小さな峠をいくつも越えて、奥羽山脈を横断していくのである。
川は雪解け水で濁りが入るのが、この季節の東北の特徴。それにしても美しい新緑。これは、香川では味わえない。
飯豊を越え、小国の道の駅に入ってみる。
山菜は今がピークである。ミズ、ウド、
シドケ、ギョウジャニンニク、
ウルイ、ゴボウアザミ、
ワラビ、
コシアブラ。
この辺りは日本一といってもいい山菜の宝庫である。が、フクイチの放射能で山菜のセシウムは心配になる(新潟県魚沼産コシアブラから、放射性セシウムが1キログラムあたり150ベクレル検出された報道があったばかり)。
新緑があまりに美しくて、何度も車を止めた。高知の人が大好きなイタドリもたくさん出ているが、東北の人はこれを採らない。他に美味い山菜がありすぎるのだ。
瑞々しいモミジの新緑。
こんな場所は秋もまた絢爛な紅葉で彩られる。
フジの花がとても多く、よく目立った。
コンビニの駐車場で休憩して、ようやく高速道路へ入る。