先日、隈研吾の『つなぐ建築』のことを書いたが、その後『三低主義』、『オノマトペ建築』を読み、今日は『なぜぼくが新国立競技場をつくるのか』を読了した。この時代を木造できりひらく、という隈さんの並々ならぬ決意に涙が出た。新国立競技場では国産のスギとカラマツ材が大量に使われるそうだ。
私が隈建築を初めて見たのは群馬に居たときで、高崎にある駐車場(「高崎駐車場」2001.3)だった。その頃はまだこれが隈さんの建築とは知らず、そのルーバーの不規則なさざ波が印象的で心に残った。
栃木県の「広重美術館」も、「石の美術館」も、「ちょっ蔵広場」も、車で近くは通っているのに観ていない。高知県の檮原町は隈さんの名作がたくさんあるが、私が講演に行ったのは2004年で、最初の庁舎ができる2年前だった。その後、四万十式作業道の取材で隣町を頻繁に訪れていたのに、檮原に行く余裕はなかった。
「史跡金山城跡ガイダンス施設・太田市金山地域交流センター」は2009年の5月に竣工している。ちょうど桐生に引っ越したのがこの頃。日記をみると金山には6月に訪れているのだが、ここは行かずじまい。なぜかフラれまくっている。
桐生で執筆を始めた自著『「植えない」森づくり』の終章には隈さんの名を書いているくらいだから、その頃から興味ある建築家だったのに、建築を積極的に見に行こうというまでには至らなかったのだ。
が、311以降の隈建築は凄いものがあり、今は見たくてしょうがない。たとえば太宰府のスターバックス。60×60mmのスギの角材(長さ3mから4m)を約2000本使って洞窟のような店の内装に使っている。が、これが「地獄組み」という伝統的な木組みなのだ。そしてそのスギの角材は、ただの内装ではなく、筋交いといして建物を支えているという。
こんなことはコンピュータの解析があって初めてなし得ることだし、めちゃくちゃ複雑であっても構造計算がきちんとできるから認可も通るわけだろう。ただし最初から建築家主導でコンピュータで図面を描くのでなく、最初から作る側と描く側がいっしょになって考えるのだ、と隈さんは言っている。
コンピュ―タの発達に加えてこのところ木材の不燃化・防腐化の技術がものすごく進化したという。これまで木造は、「伝統工法に固執するがちがちの旧懐派」 vs 「どでかい集成材派」という2極化の図があってぐったりしていたけれど、隈さんは
日本の木造は、小さい部材の組み合わせが基本でした。大きな樹木が手に入らなくても、小さな部材の組み合わせだけでどんな空間でも作れてしまうのが日本の木造のすごさなのです。その懐の深い民主的なシステムを現代によみがえらせることも、一つの目標です。(同)
なんてことも忘れない。隈さんの元には、この新国立競技場を引き受けたことで同業者を含め批判も殺到しているそうだが、それは「建築の世界が決定的に変わろうとしているから」「社会と建築の関係がまったく変わろうとしているから」と反応を分析している。
さて、読了して買い物に出かけたら、コチの刺身なんていう珍しいものが安かったので買ってみた。
菜の花のおひたし。先日、レトロ市で入手した器で。しばし日本酒をちびり。
今日は三越の北海道展のお土産をいただいたので〆はそのラーメンで。
トッピングは豚肉、茹でもやし、白髪葱、それにおろしニンニク。
豚肉は袋の説明にある通りに作ってみた。出店しているこの「麺屋 開高」ではホエー豚の醤油煮がチャーシュー代わりに乗っているんですと。で、私はとんかつ用のロース肉を何枚かにスライスして、醤油・砂糖・酒・水を分量で合わせて煮立て、煮詰めながら肉にからめていく。唐辛子とショウガとニンニクを入れてみました。
麺は「これぞ味噌ラーメンでしょうよ」という感じの太麺。スープは味噌風味はそんなに強くなく、複雑な旨味とコクがある。これに先の煮豚が合う合う。「豚骨、げんこつ、もみじ、ホタテ、アジなどを煮込んだスープ」ということらしい。贅沢だね。
いや〜おいしかった、ごちそうさま〜♬