塩サバの味


みなさん青魚はお好きですか? 僕は昔からアジ、サンマ、イワシ、サバが大好きで、とくにサバは群馬の山暮らし時代にも魚屋で鮮度のいいのを見つけて自分でしめサバを作ったことがあるくらい。あと塩サバも大好き。

サバはいまが旬であぶらがのっている季節だけど、まあ普通はノルウェーサバを買っちゃいますよね。あれはあれで、年中いつでも買えて、安くて美味しいんですが、先日なかなか良さそうな日本海産のサバの切り身を見つけたので、ちょっとひと塩して食べてみたのです。

8分に搗いた米にネギ納豆。白菜とニンジンとタマネギの味噌汁(出汁は鰹節)、それに前日塩をぱらっとふって馴染ませておいた焼きサバ。大根おろしに柚子。サバは尻尾のほうを使ったのであぶら感はそれほどでもなく、味もまあまあという感じだった。でも僕は関東の人間なんで、こんな感じの・・・青魚+納豆+味噌汁+漬物(この日はなかったけど)という朝昼ごはんが大好きなわけ。

ところが、残りの半身を4日後に焼いて食べてみたら、これが驚くほど旨い! 腹のところだからあぶらもあって、それだけじゃなくて塩が馴染んで熟成されていて、ものすごく深くて繊細な味もする。それがやや固めに炊いた8分搗きの、ちょっと糠臭の残るおひつで冷ました米と、もう感動的に合うわけ。もちろん、ダイコンおろしと醤油も合う。

これってある意味日本食の極致だよね。ノルウェーサバなんてぶっ飛んでしまうほど次元がちがう。そこで思ったのは、やっぱりこういうものを若い時分から食っておかないと、本当の日本の自然のありがたみは解らないのではないか・・・ということ。

いま流通革命がおきていて、仲買人を通さない産直のルートが確立され始めていて、スーパーでも朝穫れの魚が買える時代になったんだよね。「羽田市場」なんて飛行機で直送する企業も現れた。漁師さんも〆方をまじめに勉強したりしてる。

これは地方創成にも貢献するし、あらためて日本の自然のすばらしさを再認識するいい機会になる思う。そうなるとコンクリートを撤去して、自然の海岸線を復活させたり、山を間伐して混交林にしたり、河川の護岸を石積みや竹・樹木を利用した自然工法に変え、魚道をきちんと作り直し、豊かな漁場を回復させようというような機運が、大衆の中から生まれてくるかもしれない。

もうひとつ思ったのは、ピチットを使った干物はまだ食べたことはないんだけど、ただひと塩して数日寝かせたものと味がちがうんじゃないかな? ということ。ピチットなしの場合、空気にふれるので酸化もするけど、熟成中に微生物も働いて新たな旨味を醸すということがおきる。

失敗の可能性もあるけれど、日本の食べ物で微生物の関与があるものは、ものすごく旨いものに昇華する力を秘めている。で、こういうものはやはり家庭でしか食べれない。


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