旅から戻ると、ドッヒャーっと草が勢いを増してはびこっている。山の盛夏に3日空けるとは、そういうことである。まずは敷地の草刈り。その後、畑に行くと、つぼみだったヒマワリがほとんど開花してこっちを向いている。「おかえりなさい!」と言葉を投げかけられているようで嬉しかった。
食後は、児玉のY氏が来たときに山から採ってきたスギ枝のさばき。枯れ葉と枝とに分け、長い枝は3等分くらいに、ナタで切れ目をつけて、膝を使って折る。葉っぱは葉っぱで、枝は枝でまとめてヒモで縛っておく。このヒモはY先生が持ってきてくれたもので、畳を壊したときの縁(ふち)のナイロン帯(おび)なのだ。丈夫でなかなか具合がいい。イタルさんも使っているようだ。
夕刻はやぶ蚊がでるので作業中はちびカマで火を焚く。この場合、炎も暖もいらない、すなわち蚊避けの煙があればいいわけだ。これには、最初に薪でオキができたら、生っ葉をその上にてんこ盛りにしてしまう。庭の草むしりで出た青っ葉を使えばよく、煙が出尽くして炎が立ち上がったら、またてんこ盛りに・・・これをくり返す。オキ火が消えない程度に生っ葉を重ね続ければいい。
この方法は、農家や山村では昔からよく行なわれている(ほら、昔の、落ち葉で焼き芋を焼く方法ですよ)すぐれたゴミ処理のやり方である。炎を上げず安全に雑草のゴミを片付けることができ、一石二鳥なのだ。しかし野焼きが制限されている今、忘れ去られつつある。
周囲にこれだけの煙が流れていると、さすかに蚊はやってこないのだが、さすがにいつも巡回してくるハチやトンボやチョウもすぐに逃げていく。それが悲しい・・・。
ことづけもなく3日も空けた僕らを心配していたであろう、お隣のイタルさんに、水戸土産の納豆煎餅を届ける。バケツと雑巾を持ってコペンを洗車に行ったら、ボンネットの上に小さなな竹カゴが置かれ、中にナスが3個入っている。夜はそのナスを炒めて食べた。Y先生、ごちそうさまでした。