旅のお土産に作っていたのはCD だった。昨年の個展のさいに録音しておいた曲目の中から自作のもの4曲だけをとりだして、僕らのユニット「SHIZUKU」のオリジナルCDをいよいよ作ることにしたのだ。その推進力になったのは新たに購入したプリンターである。K社のスキャナ付きの複合機なのだが、前に使っていたプリンターに比べて驚くほど性能が上がっており、ジャケットやライナーノートの印刷はもちろんのこと、CDそのものにプリントできる機能まであるのだ。2日間ぶっ続け、最後は徹夜で10枚のCDを仕上げ、コペンに乗り込んだ。
十石峠から佐久へ出て松本へ。上高地方面に向かいながら、有房峠を越え高山に入る。時間も押し迫って高山見物は見送り。急いで高山ラーメンを食べただけ。相方は不満そう。白川郷平瀬温泉の宿に着いたのは5時半をまわったところだった。ここは硫黄泉で岩の露天風呂もある。夕食には熊肉の汁が出、久しぶりに美味しい鮎の塩焼きを食べた。源泉掛け流しの本物の温泉宿で山幸と地元の吟醸酒を、そして翌朝のみそ汁に舌鼓を打つ。秘湯での愉楽。自然破壊きわまった日本において、これぞ最後に残された贅沢だ。