筑波山


週末は天気が崩れそうなので、イラストマップの仕事の筑波周辺に取材に出かけた。が、出遅れた。渋滞もあって筑波山に近づいたのは2時を過ぎてしまった。周囲の散策も重要なので古道の集落「神郡」を訪ね、コペンでぐいぐいと「つくば道」を直登する。

筑波山は標高が千メートルにみたない低山だが、関東平野に独立峰のごとく立ち上がっているのでどこからも目立つ。もちろん日本100名山にも数えられる誉れ高き名山である。麓にはタブ、クス、シイなどの照葉樹から、山頂付近にはミズナラ、ブナ等の落葉広葉樹まで幅広い植生のバリエーションがある。ブナは茨城県最南の自生地だ。

ケーブルカー駅についたのは2時半。でも天気がいいのでケーブルカーで往復し、「男体山」「女体山」の両頂上を登っておこうと思った。筑波山山頂、僕にとって中学校のとき昆虫採集で訪れて以来、実に30年ぶりの登頂である。

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帰りは筑波温泉ホテルで日帰り入浴をする。ここは筑波温泉の湯元で、出た後は1時間くらい身体がじんわりほかほかとよく効く、けっこうなお湯だった。仕事で使う国土地理院の二万五千分の一地図を探しに土浦へ。こんなときもコペンのカーナビが活躍する。施設検索で「本屋」を入力すると、電話帳に登録されている全ての店舗が画面にプロットされる。その中の有力な場所をしらみつぶしに訪ねてもよいが、電話番号もチェックできるので、携帯電話で直接商品の有無を問い合わせてもいい。

ところが土浦の店ではどこにも置いていない。「置いてもはけない商品ですからねぇ」と駅前の書店のおばさんは言い、つくば学園都市の書店を教えてくれ、僕らはそこでようやく地図を手に入れた。そして高速に乗って水戸を目指した。水戸の編集者Sさんの事務所で深夜まで打ち合わせ。S さんは香川の小豆島の生まれ育ちである。同じく香川・高松育ちの相方と話しがはずむ場面があったりしてなんか不思議なのでした。

ところで、『つくばスタイル』なる雑誌をその本屋で見つけ、興味深く読んだ。「ほどよく都会/豊かな自然」「里山ルネッサンス」「里山のモダン&メローな暮らし」などと銘打って、筑波周辺で古民家を改装したり自然素材でお洒落に暮らしている人々を紹介している。

だけど実際、つくばを歩いてみると、前にブログに書いたように、多くは悲惨な状況しか見当たらない。これらの事例は「点」でしかない。そしてこれらの本人は、大学の教授だったり、それを兼務したアーティストだったり、裕福な公務員のリタイア組だったりする。里山でオシャレに暮らす、というのは、ようするに金と余裕のある「人生勝ち組」の遊びでしかない。

こぎれいな部屋で囲炉裏で「炭」を焚いて遊びとして酒宴をひらくだけなら、何も変わらないだろう。だけど、子どもたちが拾ってきた小枝で炎を立てた、暖と調理のための本物の囲炉裏があるなら、日本が変わる可能性があるのである。


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