Y先生の敷地の草刈りの手伝いにいく。僕らはエンジン式草刈り機を持たないので二人とも手ガマ(長カマ)である。昼食はエビ入り焼きそば。午後は雷が来たので早々と上がる。早めに風呂に入り、雨上がりの庭に出てビール。次いでバーボンの水割り。つまみはイタルさんからもらった青菜のおひたしとジャガイモとチーズのハッシュドポテト風。
で、ぼんやり風景を楽しんでいるのかというと、膝の上にノートパソコンを置いてメールの返事やブログの日記をまとめたりしている。
『現代農業』に田辺林道の連載をすることになった。個展が終わったらすぐに編集者と打ち合わせ。そして6月中に四国へ取材旅になりそうだ。徳島のIさんからもナイスタイミングで電話が来る。
鋸谷さんからもメールが来た。『現代林業』(全国林業改良普及協会誌)の7月号から4回の予定で「鋸谷式間伐検証レポート」を連載するという。京都大学の大学院生が林分調査をしていた話しは聞いていたが、その分析と解説の連載だそうだ。「巻枯らし間伐」も認知されはじめた。埼玉県ではすでに2,700haの人工林で巻枯らし間伐が実施され、東京都でも本格的に取り込む計画が進んでいるという。「胸高断面積合計の密度管理指標も、林野庁治山課が健全な林分の判断指標として使うようになった」と鋸谷さんは書かれている。
田辺林道~高密度作業路をいかにローコストで造るか、というテーマは、結果的に日本の林業の最大の問題点を照射することになるだろう。そういう意味でも非常に重要な仕事だと感じている。資本の潤沢な大規模林家、たとえば三重の速水林業などがスター扱いされている反面、日本の林業事情は様々な面で混乱し最悪の状態になっている。
問題なのは、中小規模の山持ちさんたちが利潤を上げれる林業を再構築するにはどうしたらよいか? なのだ。それには木材を使う下流側が変わらねばならない、という論調も知っている。しかし、本当にそれだけなのか? ちがうのだ。崩れない、管理しやすい、必用最小限の作業道を造れば大きく解決するのである。
日本の気候風土に最も適した環境型林業としての鋸谷式間伐と田辺林道。この二つの考え方と実践が、これからの日本の林業を大きく変えるのは間違いない。そして、この地平線から森林全体や環境問題を見渡すとき、これまで見えなかった諸相が浮かび上がってくるはずなのだ。