農業高校の文化祭で購入したキャベツが美味くて、それでお好み焼きをすいぶんやった。
お好み焼きは「ちょっとキャベツを切り過ぎたか」と思うくらい多めに入れるのが美味しい。最初は心配になるが、ひっくり返してじっくり焼いていくと、キャベツに火が通って収縮してまとまってしまうのだ。
小麦粉が多いとモカモカ・ニタニタとした、まるであんこの少ない今川焼のような食感になって美味しくない。
表面を焦がさないように火を通すには、じっくり時間をかけて焼く。
これには分厚い鉄のフライパンがよい。まず十分に余熱してから、いったん濡れ布巾の上に載せてフライパンの底の温度を下げる。
そうして中弱火の火に戻してから油をひいてタネを入れる。
こうしないと油の温度が急に高くなりすぎて煙が上がりタネも焦げる。かといって最初から中弱火でやると、家庭用のガスコンロでは火口が小さいので大きなフライパンでは焼きムラができる。
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さて、この加熱のコツで和風スパゲティを作ってみよう。具は鶏肉とキャベツのみ。鶏皮の臭み消しにショウガのみじん切りを少々。
パスタは先に固めに茹でておき、お湯を切ったらボールに移してオリーブオイルをかけて混ぜながら団扇であおいで冷ましておく。前の日に仕込んで冷蔵しておいてもよい。
上の要領でフライパンを処理したら油を入れ(このときはゴマ由がよい)鶏皮を細かく刻んだのを入れてヘラで押さえながらちょいとうす焦げができるくらい炒める(パチパチ跳ねるので注意)。さらにショウガのみじん切りとキャベツのザク切りを入れ、鶏の身は最後に入れる。
鶏は小さめに切って塩コショウしておくといいですよ。そして冷ましておいたパスタを入れて炒める。
ここでバターをたっぷり入れてやるとくっつかないしコクが出てそれはそれで美味いのだが、家庭ではヘルシーに軽く仕上げたい。
なので麺がくっつき始めたら、あらかじめ用意しておいた鰹節のだし汁(味付けしていないもの)をお玉で少しずつ入れ、麺をはがしながらうまく炒めていく。
汁が蒸発するとまた麺がくっつき始める。またお玉でだし汁を入れる。これを繰り返すうちにキャベツも蒸されて柔らかくなり、鶏肉にも火が通る。
塩コショウで味をととのえ、最後に醤油を回しかけて香りと色をつける。
皿に盛り、削りたての鰹節と刻み海苔をのせる。
胡麻油と鶏皮の風味、鰹節のだし汁の隠し味が渾然となって、とんでもなく旨味がある和風スパの完成だ。
主役はキャベツと鶏肉だが、麺がたまらなく美味いのである。
ちなみに、これを豚肉でやる場合は豚脂の臭み消しにショウガではなくネギを使うといいが、ちょっと味が焼きそば風になってしまい、洗練さに欠ける。
鰹節のだし汁はお好み焼きの小麦粉をとく水替わりに使っても美味いですよ。