桐生に借りた家には畑と竹林がついている。借りた家に隣接しているわけではないが、歩いてすぐのところにある。藤岡のIさんが9日に軽トラを出してくれ、最後の大物である机や本棚などを運んだ。Iさんからいただいたキュウリやシロインゲンを桐生の畑に植えてみることにした。
畑は他の人が使用中で、収穫で空いたところから僕らが使わせていただくことになっている。まずは空いた場所に畝きりをする。黒い土で、旧アトリエの畑とはぜんぜん違う。石がまったくないのだ。
そして平らである。なぜならここは、元田んぼだったのだ。
畑のすぐ上に水路が流れている。しかし、いまこの地区で田んぼをやっている人はいないようだ。「ここの米はおいしくないんだよ」とご近所のSさんは言う。しかしもったいないな、と思う。
新著の制作で根を詰めたのと、引っ越しのドタバタでかなり疲れている。午後は作業を休むことにして前橋の県立図書館までドライブと備品の買い物。
途中、カレーを食べる。前々から気になっていた店で、桐生に隣接するみどり市にある「カレー風味すずき」という店だ。
「フランス料理で培われたソース作りをカレーに生かしたこだわりのカレー専門店。ルーの味が35種類以上、2種類のカレーパウダーをベースに基本となる8種類の味を作り出し、一品一品違う味のカレーに仕上げている」というのだ。
私はフランス料理らしからぬ「スタミナカレー」980円なるものを頼んでみた。まず出てきた野菜サラダ、そのドレッシングが、まろやかで美味い。そしてスタミナカレー。
ドーナツ状に盛られたご飯の中央に牛薄切り肉とセロリのカレーが、そして中央に卵黄、周囲に揚げニンニク、ご飯の上にも揚げタマネギが少し。
美味しい・・・。神戸の一流店でカレーを食べているような錯覚に落ち入った。うーん、やっぱり桐生文化圏、あなどれない。
平たいスプーンがよかった。ソースが最後まですくいやすく、カレーの味がよくわかる。こういうところにも気配りが細かい。
店内も落ち着いていい感じ。楽しみがひとつ増えた。また来よう。