伊勢音商店へ


翌夜は編集者と赤坂で飲み。

名目は新著の出版記念会ってわけだが次の出版ネタをいろいろと打ち合わせもしていた。なにしろ出版業界はいまキビシいからね。

新著の滑り出しは好調で、そろそろ読み込んだ上での突っ込んだ書評が出て、ブログの俎上に載せられてもいるようだ(こちらこちらも)。最新号『ドゥーパ!』にも「編集部イチオシ!」というタグ付きで紹介されていたし、『山づくり』を凌ぐ部数を伸ばすのは確実だろう。ま、モトもかかっているので、金銭的にはそうなってくれないと困るのだが。

さて、2泊3日の東京旅、今日は帰宅の日だが、御徒町のコインパーキングに車を止めて、アメ横の「伊勢音商店」へ寄って鰹節と昆布を買い、アメリカ屋でジーンズを2本買った。

そこからの帰路、埼玉で「銚子丸」という回転寿司で昼食。銚子直送の青魚がなかなか美味しかったです。いやー食べた食べた。新著増刷決まったので太っ腹だぜ(といっても、二人で3000円台だけど/笑)。うん、これから寿司が食いたくなったら埼玉まで下ろう。○馬の回転寿司は本当に酷いからなぁ。

それにしても、伊勢音の姿勢は立派だ。「鰹節削り器」がリニューアルされていたのだが、新潟の燕三条に特注し、店の社員を送り込んで研ぎと鉋台の仕立てを学ばせるという徹底ぶりである。伊勢音では、昔から鉋の刃の研ぎと調整を無料で行なっているのだが、それは、本物の鰹節は「本枯れ節」といって非常に硬いもので、なまくらな鉋では削れないからだ。しかも、鉋の調整の難しさは、大工のそれとほとんど同じなのである。だから、素人が本物の鰹節を使おうというとき、必ず鉋でつまづいてしまう。その鉋の進化を常に見ている。

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今から20数年前、私は丸元淑生さんの料理本に感銘を受けて、そこから本物の出汁と鰹節の重要性を知った。丸元さんが紹介する築地場外の店に行き、鰹節を買って使っていたのだが、友人から偶然に「伊勢音」の鰹節を貰う機会があり、その鰹節の完成度に惚れ込んでいたのである。

その頃イラスト仕事だけでは食えず困窮していたので、アルバイトをいつも探してしたのだが、たまたま『アルバイトニュース』(当時はこの冊子が全盛だった)をめくっていると、「伊勢音」の文字が飛び込んできた。というわけで、暮れの忙しい時期に2カ年、アルバイトでお世話になったことがある。

そればかりでなく「削り方」のイラストのお手伝いもさせていただいた。伊勢音で鰹節を買うと、今もこの説明書が付いてくるのである。

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※この説明書は、船瀬俊介著『自然流「だし」読本』にも一部掲載されている。


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