桐生で有名なある寿司屋を調べていたら、人気の食ブロガー(主婦)のページに引っかかった。その寿司屋はモノは良さそうだが値段は高い。その食ブロガーはしょっちゅう通っているようだった(私たちはまだ一度も行ったことがない/行けないw)。ところがその人は、先日私たちが食べに行って激怒した桐生市内の高くてマズい蕎麦屋を、さも美味そうに写真を撮って褒めているのだ。だから、内容は信用できないと思った。
田舎ではかたわらで畑をやって自炊すれば一人月10万でもなんとか暮らせる。ところが鹿児島の片田舎、阿久根市役所の職員給料は年収700万円以上の人が半数以上を占める(大企業の部長以上の給料待遇である)。月収に直せば約60万円。全国どこでもこんなもの、というから群馬も同じようなものなのであろう。なるほど、こんなに貰っていれば、安心して寿司屋通いもできよう。
桐生の町は冷えきっているが、遊んで暮らせる階層は、しっかり遊んでいるのである。しかし、身銭を切る苦労のない人に、本当の美味求心はできない思う。昔の旦那衆のように文化を育てる力量はないのだ。ということは、店が、職人が育たない。たいして味がわからない客が、高級だという理由とそこに居る優越感だけで、食べているのだから批評がない。まともな批評がなければ職人の感性も磨かれない。
桐生は銭湯と昭和のレトロ食堂がとても多い街だ。金のない者でもその楽しみは享受できる。感受性の豊かな、しかし金のない桐生のアーティストたちは、それを大いに楽しんでいるはずだ(私たちもそう)。しかし、銭湯もレトロ食堂も稼ぎが少なく後継者に悩んでおり、消滅する傾向にある。
そうなると、低所得者のための「全国一律のファストフードの郊外店」と、高所得者のための「向上心のない高級店」というグロテスクな2極化が起きる。もう、これは食的には最悪の街だ。私はそんな町に住みたくない。それに駅前からシャッター街を見せるような街が「世界遺産を推進」というのも一般市民から見て多いに違和感があると思うのだが・・・。
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午後、市役所職員2+県職員1さんが視察に来訪。私たちは市のHPでこの家を見つけた。その後、市のパンフレットに載ったりしたので(県の山村移住のパンフにも協力している)、その改装状況・囲炉裏見学と、今後の移住者向けツアー企画の協力(講演や公演)願いに来られた。囲炉裏を囲んで冷たいお茶を飲んでもらった。いつもは下の動画のように炎を立てるのだが、暑くもあり皆さんの公務中、衣服に煙臭や灰をかけるのはどうかと思い、小さく炭を灯した。
私は会話の中で、銭湯とレトロ食堂と個人喫茶のある桐生のすばらしさを強調した。彼らは、そんな見方があるのか、長年住んでいるとそういうことが見えないんだな、と目を輝かせていた。また、桐生には古い魅力的な家屋が多いので、そこを店などに再生する人がいたら市で助成をしたらどうか、とも提案した。そうすれば腕の立つ大工さんに仕事とお金を回すことができる。市内には間伐を待つスギ・ヒノキ山林がたくさんあるのだから、市内の木で再生すれば話題にもなる。
これを書いているときに、yuiさんが先日送った梅田の浄水場の提案に関する回答が、役場からメールで、届いた。私たちが予想した通り、
「御提案の緩速ろ過池は、施設の建設費が少なく、水処理にかかるコストが急速ろ過池と比較して少なくすむ方式でありますが、ろ過速度が遅いため、大きなろ過面積が必要になります」
との理由で「急速ろ過に」になりそうな動きであった。しかし、浄水の権威である信州大の中本先生は
「緩速ろ過は、急速ろ過より広い面積が必要とは誤解だった」
というYouTube動画をアップしている。私はyuiさんが役場に「市民の声」として意見を送るというので、すぐにブログにリンクをつくり、URLを文面に明記してもらったのだが、見ていただけなかったようである。
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桐生は山と川に恵まれた美しい街だ。旧浄水場の老朽化によって、梅田の新設浄水場に一元化されるわけだが、化学薬品を使わない、機械と電気エネルギーがいっさいいらない、しかも産業廃棄物がでない、クリーンな緩速ろ過方式で生まれる美味しい水(塩素添加も少なくて済む)は、桐生の大きな売りになるはずである(銭湯でも大量の水を使うが、私は市内の銭湯の渡良瀬源水の水のカルキ臭が気になって仕方が無かった)。緩速ろ過方式なら山水や井戸水と同じ水質になるのである(水は「料理」の原点でもある)。
「緩速ろ過」はいま「古くて新しい浄水技術」と世界的に再評価がなされている。群馬はこの技術の先進地であり、高崎市の緩速ろ過「剣崎浄水場」は今年度の土木遺産に認定された。
ぜひとも、本物の水とレトロ食堂と森カフェと銭湯のつながる桐生で、この町を再生してほしい。まだ十分間にあうと思うのだ(水が美味しければラーメンもうどんも美味しくなるぞ! そういえば桐生はうどんの町で売り出しているじゃん!)。
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今日は阿久根の竹原市長の本、『独裁者』(扶桑社2010.2)を午前中読了したので、午後は気が重かった。その竹原さんが7月11日、桐生で講演会を開かれる。しかも元愛媛県警で裏金問題を告発した仙波敏郎さんもやって来るという(講演は午前10時から2時間、場所は桐生市民文化会館4階第2会議研修室。夜は懇親会もあるそうだ)。
このお二人が私たちに「勇気を出せ!」と言っている。行動しなければ何も変わらない。すぐそばでアオバズクの声が聞こえる。「水と森カフェ」ならまた渡って来てくれるだろう、この町に。