いまにも泣きそうな曇り空、畑のジャガイモ掘りをしました。ベトナムのホーさんみたいなyuiさん(笑)。私も頭はヒノキ傘ですが足は正調地下足袋です。
男爵。ホームセンターで買った種芋と、旧アトリエの保存芋を両方埋めたのだが、後者の方が案外出来がいいのであった。
紫芋。これも、友人から貰った芋が食べきれずに芽を吹き出していたのを、ダメモトで埋めてみたら、しっかり収穫できた(驚)。
ふうむ、タネイモってわざわざ買う必要があるのかなぁ。病気が出るとかで北海道産のをほぼ自動的に買わされているんだよね。それでも収穫後に腐る病気があって、収穫前の土に農薬をまく人も多い。まさか、マッチポンプの商売じゃないだロウネ(笑)。一輪車いっぱいになってしまったのでいったん家まで戻って、午後から続き、そして豆類をまいたらちょうど雨。
ジャガイモは葉をボロボロに虫に食われた。ニジュウヤホシテントウが畑にうじゃうじゃいて、トマトの葉っぱもかなり被害を受けている。旧アトリエの畑ではこれほどの被害を受けたことがない。ここは長年、耕耘機で耕し→肥料投入、を繰り返された畑なので、私たちのような「いきなり自然農」では数年のリバウンドが出て当然なので驚かないのだった。
さて肥料のことだが・・・
岩澤先生の『究極の田んぼ』を本日の朝に読了したが、そこに興味深い記述がある。先生は講演のとき
「有機栽培の認証マークのついた野菜は危ないから絶対食べないように」
と言うのだそうだ。
なぜなら、日本の有機栽培は畜産糞尿を大量に肥料として使っており、現代の畜産では抗菌剤や抗生物質がエサの中に大量に投与されている。多くの頭数を限られた空間で密飼いするから病気発生を押さえるためである。当然、肥料の中にその危険な成分が残留すると考えられる。
いま、家庭菜園的に自家用で野菜をつくる市民が急増中であるが、彼らは無農薬有機栽培が至上のものと思っている。そしてホームセンターには鶏糞や牛糞系肥料がとても安い値段で売っているので、なんの迷いもなくそれを買ってきてはせっせと畑に投入する。それが危険なものとは知らずに・・・。
群馬県は畜産県である。県内をドライブしていると、畜舎があるのがすぐわかる。糞尿の臭いが流れてくるからだ。だから山間地でもCopenをオープンに走れる場所は意外に限られているのであった(笑)。
しかし、なぜ放牧しないのだろうか? 休耕地はあるのだから、密飼いしなくてもいい場所だってあるだろうに。放牧の牛の場合、糞はそれほど臭くない。私は郷里の水戸で昆虫少年をやっていたとき、水戸市内の牛の放牧地で糞中のオオセンチコガネを採集に行った思い出がある。牛の糞をひっくり返すと、美しい金属光沢の和製スカラベがよたよたと歩いて出てくる。牧場内も、牛の糞も、それほど臭いとは思わなかった。
ところが、密飼いの牛舎は猛烈に臭い。これは本来の牛のエサである草ではなく、トウモロコシやコムギなどの濃厚飼料を食べさせられているからだ(BSEが問題化する前は骨糞さえ食わされていた)。しかも一カ所に集まったまま。
じつは、ここには大きな理由があるのだ。草を食べる放牧牛の場合、牛乳の乳脂肪分が3.2%前後にしかならない。ところが、全農と乳業メーカーは乳脂肪分を3.5%以上と決め、それ以下の乳は安く買い叩く。その基準値を1987年に決めてしまった。
乳脂肪分3.5%以上になるには、牛舎で密飼いして、濃厚飼料を食べさせた牛でないと基準値に合格しない。だから87年以降、日本の放牧牛は激減したのである。その濃厚飼料のトウモロコシやコムギは、アメリカからの輸入である。すなわち、アメリカが仕組んだ戦略を、全農やメーカーが担がされているのだ。
私たちの自給農にまで、国際政治がこのように絡んでいるのである。ちなみにアメリカの有機栽培認証は、完全な有機畜産の認証のとれた糞尿しか使わないのだそうだ。
岩澤先生の『究極の田んぼ』、まだまだ面白い話が山ほどあるのだが、これは阿久根の竹原市長『独裁者』とともに、すべての日本人にぜひとも読んでもらいたい本だ。