桐生の火と水


先日、実家の水戸へ行った帰り、栃木の佐野から山越えで梅田へ向かうルートをとった。実は、この道沿いで伐採と集材をしていた場所があって、そこの残材を薪に貰おう、と目をつけていたのだ。いま、スギ・ヒノキ人工林の伐採跡地では、オイシイところだけを持って行くだけで、後はすべてゴミとして山に捨てていく。だから、驚くほど大量の残材が、斜面にごった返している。ちょいと道ばたに車を止めて、ちょいと道に近い場所の斜面の木を拾うだけで、およそ一ヶ月分の薪が入手できる。これを、誰も使わないのだ。もったいないことだし、次の植え付け時には地ごしらえ、という作業があるのだが、そのときじゃまでしょうがないだろう。

さて。本日、大村しげさんの『京都 火と水と』(冬樹社/1984)を読了。私は故、大村しげさんのファンで、拙著『山で暮らす 愉しみと基本の技術』にも何編か紹介させていただいたが、これも、いい本だった。前橋の県立図書館で閉架図書として眠っていた本である。まったく、なぜこんな名著が・・・。ぜひ文庫化してほしいと思う。

京都の火と水にまつわるエッセイだが、その文の中に暮らしの息づかいが込められている。

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明日なき森


桐生の里山に暮らし始めて、夜に飛来する虫が異常に少ないことを書いた。これは農薬・除草剤・室内外殺虫剤が下手人であるとにらんでいた。が、旧アトリエでも虫が少ないことが判明した。

実は前回の6/29でもは感じていたが、まだアトリエ滞在中の晩春はけっこう虫たちが灯火に来始めていたから、桐生が異常なのだと思っていたのだ。ところが、今回の夜、灯火にやってきた虫たちはごくわずかだった。5年間暮らしてこんなことは一度もなかった。ネットで検索してみると、全国的に、虫の少なさのに異常を訴える人たちがいるようだ。

みなさんの地域はいかがですか? ぜひ書き込みなどで教えてください。

さて、今回出がけに桐生図書館で重要な本を借りて持ってきていた。後藤伸さんの講演録『明日なき森』(新評論 2008)である。後藤さんは教員生活をしながら紀伊半島を徹底的にフィールドワークし、その特異な生態系の解明に尽力された人である。惜しくも2003年に73歳で他界された。

暖帯寒帯の両種が混在する不思議な熊野の森を書いたその文を、私はどこかの図書館で読んでいて、その魅力的な森の深みに引き込まれた記憶がある。著者名が思い出せないまま、ずっと時間が過ぎてしまっていた。本書の巻末「著作・報告書一覧」からすると、1993年の『日本の自然 原生林紀行』(共著/山と溪谷社)だったのかもしれない。

それが、私の本の読者からメールをいただいて、この本を発見したのだ。これまで後藤さんの名を得ることができなかったのは、単著が『虫たちの熊野』(2000年)という本のみで、これが紀伊民報社という地方の出版社であるため、図書館に入りにくかったからだろう。そして後藤さんが他界された後「熊野の森ネットワークいちいがしの会」の有志の手によって、昨年の10月に、本書が刊行されたのである。

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マニュアルの難しさ


新著『山で暮らす 愉しみと基本の技術』、おかげさまで好評である。愛媛に住むみかん農家のアベッカムさんの書評を紹介します。

素晴らしい本です。

これから田舎暮らしを始めたいと思う人には、生涯使えるテキストとなることでしょう。

本の随所に、山や川の本来の機能の大切さなどが、書かれています。きっと、一番伝えたいことは、その辺のことなのだろうと思っています。

ですから、町に暮らす人たちにも、ぜひ読んで欲しいです。こういう暮らしがあって、それが美しい自然と文化を育むのだということを、感じてもらえたら、うれしいです。

(中略)

早速読んでいますが、チェーンソーのメンテナンスが、ここまで詳細に書かれている本は、これまでなかったと思います。

チェーンソーが必需品である果樹農家の私にとっては、とっても役に立ちます。もちろん、その他の技術も、タマリンさんの経験と研究の成果が、存分に、わかりやすく書かれていていますね。

多くの方に、紹介したいと思っています。

以上、ありがとうございます。

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仕事中。


一日中みっちりとDTPの仕事をしていた。

その間、メール、手紙、電話で寄せられる、新著の評判が嬉しい。

今日は岡山の木こり友人であるF君のメールを転載させていただく。

こんばんは。岡山のFです。
新著の出版、おめでとうございます。そしてアトリエの移転と、今度は囲炉裏カフェ・ギャラリーですか。
すごいですね。どんどんステップアップして、どんどん前へ向かって歩いている感じですね。
いつの日か囲炉裏カフェに行けたらいいなと思います。そのときは大好きな「この街で」をリクエストするので歌ってください。
本は買います、絶対に。

こちらは6月末のことになりますが、林業をテーマにしたゲームを考えて地元の子どもたちと遊んできました。そのときの様子を会社のHPにアップしているので、よかったら見てください。

これからますます暑くなりますが、体調を崩さないようにお気をつけください。
それでは、また。

ありがとう。昨日は大学の同級生Kから電話もあったし。

ふう、ギター練習せねば。


書評をいただく


新著『山で暮らす愉しみと基本の技術』がアマゾンにも画像入りで登録された。

今日は友人のプロの編集者Mさんから新著の書評をいただいたので、紹介する。

先般は、『山で暮らす 楽しみと基本の技術』をお送りいただき、ありがとうございました。

表紙、見返しのイラストから始まって、はじめに、序章での考え方の展開。1章から5章まで、さまざまな自給自足の場面の詳細な紹介、これらのことすべてが実体験を元に書かれているところがとてもすばらしいと感じました。

また、文、写真、イラストで自在に表現されているところも大内さんだからできることですね。さらにこれだけの本をご自身でDTPまで行なわれたなんて驚きです。

これから農山村で暮らしはじめる方はもちろん、ずっと暮らしている方にもぜひ読んでもらいたい本です。ネットで調べると情報が洪水のように押し寄せてきますが、本物の情報はなかなか発見できません。この本には、本物の情報が詰まっていると感じました。

本当にありがとうございました。

本文の大内さんのにこやかな近影からも「山で暮らす愉しみ」が伝わってきました。

以上、ありがとうMさん。桐生でも頑張りますよ♪

なお新著は私の紹介で編集部に注文すると定価の1割引になり、20部以上だと送料が無料になります。