揺れと古民家


自分の誕生日にも無頓着なほど新著の仕上げに没頭中の11日、あの地震。桐生は震度5強。ちょうどパソコンに向かっていたのですぐ震源を調べた。ここでこの揺れなら震源地の近くは大地震になっているはず。なんと宮城から茨城にかけての長大な巨大地震。そして悪夢のような津波・・・。

茨城の水戸で育ったので大洗や日立、北茨城は子供の頃からよく通った。見慣れた場所が津波で被害を受けている映像は(テレビはないがPCでUSTREAM経由で見ていた)衝撃的で胸がつぶれるような思いがした。そして、岩手も、宮城も、福島も・・・。私は学生時代福島の郡山市に下宿していたことがあるので思い出の場所がたくさんある。名古屋在住のKから電話が入った。やつの故郷は岩手の釜石だ。が、自分の実家よりも郡山やいわきや磯原にいる学友たちを心配しているのだった。

さて、この家は古い(築110年)。しかも旧アトリエのようなケヤキ大黒柱のあるような骨太民家ではなく、町家のような造りで、田の字の芯柱は3.5寸角しかない。しかも根継ぎしてあり、全体に傾いているのを前の補修でいろいろ当て木をしてしのいでいる。

「大地震が来たらまっ先に倒れるのはウチだな」

と思っていたところ今回の地震。

しかし、案外平気だった。同じ市内では塀が倒れたり瓦が落ちたりした家もあるらしく、この家を仲介してくれた不動産屋さんからも心配の電話が入った。

しかし、棚から落ちたものは・・・

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このかつお節削り器の上に載っていたコーヒーミルだけ。

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ワイングラスも無事。

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これが効いたか?

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神棚借用の本も落ちなかった。ようするに家の中は強烈に揺れていないのだ。

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不思議だ! そういえば・・・旧アトリエのときも震度3~4クラスの地震のとき「揺れないなー」「岩盤だからじゃない?」などと言っていたことがあった。家の造りが共通するのは、石の上に柱が載っている基礎、金具使わない木の軸組み、貫と土壁、それらが揺れを吸収するのだな。今回の地震で確信を持った。

基礎をボルトでがっちり固めてしまう現代の工法は、揺れをもの凄く増幅させるのではないだろうか。だから、昔の工法でも土蔵などは地震に弱い。だいいち基礎の木を横に寝せるのは腐りやすいんだよね。西岡棟梁も言ってた。でも建築基準法のしばりが、それをさせないのだが。

筋交いを入れると確かに強くはなるが、骨組みの柔軟さを失うので揺れは強くなる。天井や合板フローリングというのも筋交いと同じ効果を持ってしまう。そして、

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これだけ軽い家だと、この囲炉裏にぶら下がる鉄瓶も「振り子効果」で揺れを逃がしていたりして・・・。

余震でも倒れるなよ(笑)!


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