草津高砂館、地球屋


YKの誕生日祝いということで一泊で草津へ。温泉旅館へ泊まるのはしばらくご無沙汰だった。そして草津はいつも日帰りだったので、いつか泊まりで行くのを心待ちにしていたのだった。さて、草津は山ほど旅館があり、値段もピンキリだが、僕らが行くのは、1)低料金(絶対条件^^;)、2)本物の湯(草津ならどこも安心か?)、3)木造旅館であること。というわけで以前から目星をつけていた地蔵の湯の近くの「高砂館」へ。

建物はかなり古びた木造4階建て。表からみた窓の手すりの感じからみて内部の造作もそれなりのレベルとみた。ここは平日なら一泊二食約8,000円。源泉の地蔵の湯は旅館から10mほどのところから来ているし、もちろん源泉掛け流し。加温、加水はいっさいなし。3階の部屋に荷をおろし、さっそく湯へ。

むはー、これぞ草津。地蔵の湯は強酸性PH2.1、硫黄泉だがその臭いは不快ではない。むしろほんのり花のような香りを感じる。時間帯による源泉の変化があるのか、半透明であったり若干白濁をみることがあるが、いつも湯の花が舞っているのがみえる。温度は熱いが、源泉の湯口には木栓があって自分で湯量を調節できるようになっている。

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桐下駄に履き替えて(持参しました)草津の中心部にある「湯畑(ゆばたけ)」へまわり、カフェでビール。温泉のホエホエ感にじわわわーんとしながら至福のときですね。僕は岩波文庫の『ベルツの日記』と鹿島昇さんの『裏切られた三人の天皇~明治維新の秘密』を持ってきていたのでここでのんびり読書。

さて高砂館の館内はちょっと傷みがみられて、最初に案内された部屋はちょっと床が傾いていたようだった。夕刻から低気圧の影響で土砂降りとなり、廊下からは雨漏りが。途中でおかみさんがやってきて、僕らの部屋も雨漏りの危険があるというので急遽部屋を変更することに。

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この部屋がまたなかなかよかった。親切丁寧なおかみさんは平謝りでテレビ代を500円もくれるし(コイン式のテレビだった)草津の公共温泉施設のタダ券も2枚いただいてしまった。

夕食がこれ。この僕も食べきれないほどの量だった。さすがに刺身やカニは相応だけど、吸い物や煮物には丁寧な心がこもった美味しさが嬉しかったし、右上の陶板焼きは霜降り牛とキノコで、吸い物はアサリや青物たっぷり。とにかくこの低料金ではいまどき驚きの夕食だった(朝食もたっぷりだった)。

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翌日は近所の「地球屋」というギャラリー・カフェでお茶。この店、昨日初めて訪れたのだが、古着物や骨董も扱っており、ビニール袋に詰め込み放題で5,250円というセールをやっていて、YKが選んで僕が詰め込み(なにろ昔山屋なのでパッキングは得意)11枚をゲット。

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カーラジオで草津の大雨崖崩れ注意報を聞きながら、土砂降りと雷の中を帰還。養蚕王国であった群馬は着物の古着が豊富で、すばらしい生地のものが信じられない値段で投げ売りされていたりする。これらをYKがどのように活かしてくれるか今後愉しみなのである。

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ところで草津は平成の今でこそ華やかな温泉観光地であり高級旅館もひしめいているが、江戸から明治の昔は死に物狂いで病気を治癒しに来るいわば病人の巣窟のようなところで、とくに癩病と梅毒患者が多く、町中は一種異様な雰囲気であったと『ベルツの日記』に書かれている。

その後、高度成長時代に日本の温泉は大型娯楽施設に変貌を遂げ、現在はストレス社会からの癒しの場としての秘湯、本物志向へと純化しつつあるようだ。

僕らは山暮らしの日々の作業の筋肉痛や夏の虫さされやホコリまみれの日常を、ささやかな温泉旅でリフレッシュするという、新しい時代の新しい温泉の愉しみをやっているのかな?


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