遠雷


水路の梅の実が黄色く色づいて落ち始めていた。なかには茶色くなって中身が完熟し、とろとろの甘柿状態になっているものもあり、手にしてみると爽やかな発酵臭がある。中身をちょっとなめてみると、酸っぱくてなかなか美味しい。「これはこのままジャムになる!」と思った。昨年の晩秋に敷地の柿を、その熟したものを食べた。高価なブルーベリージャムの一瓶よりもそのカキの1個のほうが量が多かった。これはほとんど自然のジャム?

山村ではカキや梅などかつての果樹が利用されないまま放置されている。さっそくネットで梅ジャムの作り方を調べてみる。ようするに熟した実から果肉だけ取り出して砂糖で煮ればいいだけだ(何と簡単!)。ジャムというのはもともと食べきれない果実の保存法なのだろう。小鍋に一杯分の梅を拾ってきて、水で洗ってから皮を剥き、竹べらで果肉をこそげとる。種の周りのぬるぬるは取りにくいが、最後に何個か手のひらに入れてぎゅっと搾るようにするとけっこうとれる。鍋で煮るとなんともいい香り。水路1mに落ちていた分で、採取からジャム完成まで2時間もかかってない。

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ついでに、ジャガイモと物々交換したマグロの切り落としがあったので、ピチットに入れて脱水し自家製ツナを作ってみた、昆布、干し椎茸、ショウガ、ニンジンンの葉っぱ、ネギの青いとこ、胡椒、タイム、月桂樹、これをコトコト煮出して野菜スープ様のものをとり、それにマグロを入れて煮る。ピチットをかけておいたせいかアクはほとんど浮いてこない。火から鍋をはずして冷まし、そのまま冷蔵庫で保存し、ほぐして使う。オリーブ油をかけておくと長持ちするそうだ。これもネットで調べたもの。

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午後、3時を過ぎて、ようやく荷上げを片付け、廃材角材を町に取りにいく。それでも汗だく。帰りにスーパーでアジと豚肉が安かったので購入。 ピチットを試してみたくてしょうがないのである。

今日は畑の草刈り。しかしまあ、凄い勢いである。草で土が見えなくなっている状態でも作物ができていることを証明するようにネギがしっかり太くなっている。インゲンもちゃんとできている。それを茹でて自家製ツナといっしょにパンで食べる。その遅い食事中時にY氏登場。軽トラに積みっぱなしだった廃材角材の荷上げを手伝ってもらった。

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草刈りの途中で宅急便が来る。予約しておいたグラフィックソフトが届いた。夕刻、ヤマダ電気にこれまた予約しておいたプリンタースキャナをとりにいく。これでようやく新PowerBookG4での仕事体勢が整う。帰り道の夜は鬼石町のお祭りを見学。遠雷がときおり夜を照らす中、若者の叩く太鼓とお囃子が響く。そうそう、今日はいろいろとお世話になっている方々にジャガイモをお届けした。

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ところで、町内にある完成したばかりの公共施設を今日初めて見て絶句してしまった。特注の湾曲ガラスとアルミ、新建材を多用した例の流行建築の最たるものだったからである。中に入るとまるで毒ガス室のような建材の臭気にクラクラするばかりでなく、これに使う今後の冷暖房のランニングコストにわれわれ町民の血税が使われると思うと、さらにクラクラするのであった。

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昨日廃材角材をばらしていると、近所のオジイサン(廃材波板をくれた人)が途中から手伝ってくれた。そこにあれはなんと呼ぶのかケーブルなどを巻く大型の糸巻き状のものが置いてあった。それが合板とプラスチックを組み合わせたチャちいものだった。もし昔の板モノだったら、まちがいなく軽トラの荷台に積んでいたと思う。

「昔はこれを縁台がわりに酒飲んだりしたもんだが・・・まったく今の世の中、気が狂ってるよ」
オジイサンはバールで合板の丸板を叩きながら、吐き捨てるように言った。

僕らはいったいどこへ行こうとしているのか?


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