増刷のお知らせ


『鋸谷式 新・間伐マニュアル』鋸谷茂 監修/大内 正伸 著・イラスト(B5判 2色刷り 68頁)定価 918円 (本体850円)、発行は2002年11月、全国林業改良普及協会。私の処女出版作であり、もう15年も前に出された本だ。普通ならとっくに絶版になるジャンルだが、いまだに売れ続けており、先日出版社から増刷の知らせが届いた。

(画像をクリックすると出版社の解説ページへ)

プロフィールも初版のままだったので、変更した原稿を送った。今回で3刷目だが、この本は1回の刷数が多い。初版 10,000部( 2002年)、2刷 4,000部( 2005年 )、今回の3刷目は 1,000部発行で、計15,000部となる。

しかし、この本が売れ続けるということは何を意味するのだろうか?

最近、藤森隆郎氏が『林業がつくる日本の森林』( 築地書館 2016/10)を出されたので読んでみたが、中にようやく「日本の気候風土は欧米と真逆」みたいなことが強調され書かれていた。

この本、新聞の書評にも取り上げられ、林業書にしてはけっこう売れているようだ。

朝日新聞読書面(2016.12.18)書評

東京新聞・中日新聞読書面(2017.1.8)書評

東京新聞のほうは熊野に住む作家の宇江敏勝氏が書評を書いておられる。

しかし、日本人の権威好きににはホトホト参るね。有名林業家や有名人が森に関わっている話は出てくるが、結局、鋸谷さんのことは一行も書かれていない。鋸谷さんが2004年に「山崎記念農業賞」を受賞されたとき、受賞記念の会場で藤森さんが賞賛のスピーチをしてくれたことを、私はよく覚えているのだが。

林業技術について、地域ごとに科学的根拠を精査してフォレスターを養成する・・・という当たり前の作業が日本では全く停滞していた。「森林総研」をはじめとする林業の研究機関を多数持ちながら・・・である。

今後も困難を極めるだろう。林業について理念を語られても、優秀な事例ばかり発表されても、現場ではそれを応用できないのだ。では具体的にどうやったら合理的なの? という答えが、鋸谷さんの本以外にどこにも見当たらない。

「植物の最も繁茂する初夏に雨が多い」

「ヨーロッパ諸国の年間総雨量が、たった一日で降ってしまうことがある」

「これだけ大量の人工林を一度に作った国はどこにもない」

「燃料革命以後、里山は放置されたが、これは有史以来初めての現象」

欧米経由の学問、文献主義の研究機関では、現在の日本の山を解析するのは不可能である。

例の自称・日本唯一日本一の「森林ジャーナリスト」の元へ、この頃「日本の林業の現状を知りたい、林業に関わりたいという熱い思いを持った若い人」が訪ねてくるんだそうだ。で、

解決法は君自身が考えてくれ、と突き放す。そして、卒業後に就いた職場でも、今の自分が描くあるべき林業を忘れずにいてくれ、

って言って帰すんだって(爆)。

これじゃ鋸谷さんの本はまだまだ売れるわw。地域ごとに科学的根拠を精査してフォレスターを養成・・・なんてやってるヒマないと思うんだけどね(笑)。


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