秋のアブラナ


昨日のスープの味が忘れられず、今日も野菜と豆のスープ。さっそく豆とフェンネル、ニンジンを収穫にいく。フェンネルの香りに癒される。これのエッセンスを石けんに入れたらすばらしいハーブ石けんができるだろうな。ニンジンの本体と葉っぱもいい味を出す。みんな無農薬だから、皮ごと使っても安心だ。

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前に摘んだほうれん草の間引き菜と、菜の花を炒め物にして添える。菜の花は自然に生えているものだ。春先の種がこぼれ落ち、いま10~20cmくらいの高さに育っている。周囲の人は菜の花には関心を示さないようだが、早春にはまだ畑が開墾前だった僕らは、これを野草とみたてて摘んでは食べ、その後も種を結ぶまで放置しておいたのである。

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その結果、畑の畝のいたるところで雑草と一緒に発芽しているのだった。引っこ抜くとミニ・ダイコンのような白い根茎をつけている。この根茎もきざんで炒めると美味しい。菜の花は正確には和名を「アブラナ」といい、厳密にはおそらく「セイヨウアブラナ」で、これは明治初期にヨーロッパから入り、種から油を採るために栽培され、広範囲に帰化して在来種(とはいえこのアブラナも弥生期に中国から帰化したといわれている)を駆逐したのである。

ともあれこの菜の花は越年性で、根茎で冬を越し、春先にまた僕らに美味しい青菜を提供してくれる。花や蕾も栄養価が高い。除草を徹底する周囲の人たちの畑にはこの菜の花は見られない。もちろん雑草は菜の花ばかりでなく雑多なものがそれこそイヤというほど生えてくるのだが、僕らはそれを排除せず、どうしても必要なところだけ手とカマで除草するという方式をとっている。

雑草の中にはゲンノショウコなどの薬用植物もあり、ノコンギクやツリフネソウなど花として楽しめるものもある。不要な帰化植物を取り去り、除草をコントロールしていけば、ひとつの「林縁+野草+栽培植物」という有用さと美しさに満ちた新たな「系」ができていくのではなかろうか。

里山とは本来そのような厳密な管理の繰り返しで形作られてきたものだが、いちどそれが壊れてしまったわけだ。昔ほど木質資源を使わなくなり、人工林が多くなり、放置された畑が増えて帰化植物が増えてはいるが、「山」という種の資源庫が近いだけに、うまコントロールしていけば(一部の絶滅危惧種の復活は無理としても)全体としては案外早く再生できるのではないか? それが活力ある日本の自然のすばらしさなのだ。

夕刻の景色を楽しみながら山を下りてジョイフルホンダへ。個展準備の備品など最終の買い物。


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