屋久島紀行14.(一湊〜永田〜西部林道)


貨物船フェリー「ハイビスカス」号は揺れに揺れた。種子島で長々と停泊するので、その間に眠りを摂る。天気はよくない。甲板に出ると屋久島がぼーっと現れるが細かい雨が顔を叩く。

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ずっとずっと、念願だった屋久島。僕らは普通の観光客とは逆のコースで、一湊集落のほうへコペンを走らせる。ここは詩人の山尾三省が暮らした場所。岬に無料のキャンプ場があるので見に行く。まず最初に出会ったのはノラ猫。そしてサル、シカの順に次々に車道で出会う。

すばらしいと思ったのは川の美しさ。屋久島は海に囲まれた森の島だが、川もまた原始性を保っている。ほとんどの人家は海岸沿いにあるので汚れがない。コンクリートなどの護岸もほとんどない。だから、河口まで清流のまま。しかも水量がすばらしい。佐渡にも渓流があるが、そのスケールは屋久島に遠く及ばない。

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永田浜へ。ウミガメの産卵地として国際的にも名高い砂浜。息をのむ水の色。そして花崗岩や珊瑚がくだけた砂のつぶの美しさ。それに様々な小貝が混じっている。小枝はたくさん打ち寄せられているが、ゴミがほとんど見当たらない。

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ここは磯の石が花崗岩なのだった。石英の節理が、埋め込まれたマッチ箱のように見える独特の岩。

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シダの一種であるヘゴに驚くYK。屋久島の海岸沿いは亜熱帯、山頂は高山帯で冬は2メートルの雪が積もる。そして中腹には地球に残された最後で最大規模の照葉樹林帯の原生林が残っている。

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永田には、僕が幼少の頃お世話になった方がいて、消息が途絶えていた。またご存命かもしれないと、役場に尋ねた。しかし、すでに鬼籍に入っておられた。若い頃、父の元で働いていた方なのだ。子供の頃、彼に自然の遊び方をずいぶん学んだものだった。その永田の上流に、水遊びに最適なすばらしい淵があった。彼はきっと子供の頃からここで潜って遊んでいたにちがいないと思った。

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西部林道へ。いきなりヤクザルに出会う。屋久島を一周する道路の中で、この区間だけは人家がなく最も原始性を保っている。

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ガジュマルの気根がぶらさがる。途中から一車線になるのだが、世界遺産保護区域というだけあってここにも観光バスが乗り込んでくるのだった。

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コペンの窓から撮影したヤクジカ。ツノのある雄はここでしか出会えなかった、貴重な一枚。

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西部林道の核心部。亜熱帯から暖温帯林にかかる原始性をよく保っている。風が強いので高い木は見られないが、相当古木もあるはず。

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大川(おおこ)の滝。まったくなんというスケールなのだろうか。本州の第一級の山岳渓流にも勝るとも劣らない。そして水の青の美しさ。これが小島の滝なのだから驚く。

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青少年旅行村のキャンプ場を見に行く。気持ちいい場所なので今日の泊まりはここに決めた。テントを張ってメヒルギ(マングローブ)を見にいった。屋久島にはごく狭い地域に分布している。世界的な北限に近い場所だ。

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ガジュマルの大樹。うーん凄い。島に入ってから「凄い」「凄い」を何度も連発している。でも、また言ってしまうのだ。凄い・・・

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ちょうど干潮だったので、海中温泉に入りにいった。世界遺産に指定されて、年間20万人の観光客が訪れる島になってしまったので、学生やジジババ様でごった返しているのでは? と思ったら意外やだれもいないのだ。無人。入浴金100を箱の中に入れ、YKも湯浴み着で飛び込み、僕はのんびり浸かる。トビハゼがいる。湯質は硫黄泉でかなり効いた。

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おかげでテントに戻ってぐっすり眠った。明日から2泊3日のトレッキング、縄文杉に会いに行くのだ。

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